医療法人社団 山中胃腸科病院【公式ホームページ】

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2023/12/19
2023/12/19 ブログ

腫瘍マーカーCEA(Carcinoembryonic Antigen) :正常値(基準値)は5.0ng/mL以下。

 CEAは腫瘍マーカーの1つ。もともとCEAは胎児の腸にみられるたんぱく質で、そのために大腸がんに反応しやすい腫瘍マーカーとされる。大腸がんだけでなく、胃がん、肺がん、乳がんなどでも増加する。つまり、消化器癌を中心とした、比較的多くのがんに反応しやすい。

 CEAは通常の血液検査でできるため、検診などで行われることがある。確かに、CEAが高いとがんの発生や再発を示すことがあるが、単に高いだけではがんの診断にはならない。CEAが高い場合は、内視鏡検査や画像検査でがんの有無を調べる必要がある。ところが、案外見つからないことが多い。CEAは、正常細胞では分泌しづらく(だから、血液で検出しづらく)、がんで分泌しやすい(だから、血液で検出しやすい)特徴を持つに過ぎず、がん以外の炎症細胞でも分泌されることがある。

 小生の経験では、20~30ng/mLでもがんが見つからないケースがあった。もちろん、翌年も元気に検診にやってくるケースである。常に、不気味さを感じる瞬間である。

 小生の意見として、「腫瘍が認められない場合には、安易にCEA検査をしない方がいい」と考える。逆に、「CEAが正常だからがんでない」と考えるのは危険だと思う。さらに、CEAは早期がんを見つけるものでもないように感じる。

2023/12/18
ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事と生活を調和させること」という。

ただし、仕事を少なくしてプライベートを充実させることではない。

もちろん、女性のためだけの取り組みでもない。

性別年齢問わず、仕事と生活を両立させ、相乗効果を生み出すという意味が含まれるという。

仕事も生活もどちらも充実してこそ、生きがいや喜びを感じられるということ・・・そんなの分かり切っている。

現実は違う。いかにそのケースを示す。

・仕事だけに追われてしまい、心身のストレスから健康を害してしまうケース

・仕事と家事・育児・介護などの両立がそもそも難しいケース

・家庭の事情で安定した職に就けず、経済的自立ができないケース

そのために提唱されたのが、内閣府の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」という。

その前に、ワーク・ラーン・バランスを考慮すべきだろう。ワークの中に学ぶ(ラーン)時間を含めるべきだろう。

ライフを犠牲にして、学ぶ(ラーン)ことは多い。勉強(スタディー)時間も無視できないはず。

ワーク・ラーン・ライフ・バランスを提唱する。

2023/12/17
横浜市緑区十日市場町

JR横浜線十日市場駅前。懐かしい場所である。

横浜勤務の際、この近くにある新緑病院に外勤アルバイトに行っていた。

十日市場駅で降りて、歩いて行っていたような記憶がある。

さらに、三重県に帰ってきてからも、この近辺に昔の患者さんが住んでいて(今でもメル友)、会いに行った記憶がある。

ファミリーレストランで飲み食いしたことも懐かしい。

また、この地を訪れることはあるのだろうか?

本当にこの地で働いていたのであろうか?

幻ではなかったのか?夢物語でなかったのか?

ここでも一曲(竹内まりやのマンハッタン・キス)練習して、ピアノ伴奏したような・・・。

やはり夢か?

2023/12/16
死角がん

 最近、死角がんの患者さんのことを思い出した。

 「死角がん」という呼び方はないのであるが、簡単に言えば、見えなかったので診断できなかったがんである。

 見えているのに診断できなかったがんは稀にある。例えば、検査目的と異なったところに偶然に見つかるがんである。

 実際、がんと言っても、細胞の検査までしないとがんと確定できない。当たり前であるが・・・。

 細胞の検査ができないがんもあり、その場合、画像だけでそうだろうと診断してしまうことも時々ある。

 それによって、誤診に至って欲しくないのであるが・・・。リスクとの相談も必要であるし・・・。

 話は逸れたが、内視鏡医は胃カメラや大腸カメラをする。長細い袋の中をファイバースコープで見ている。胃は丸い袋に近いので死角はわずかである。しかし、大腸はヒダがあるので、その裏側は10~15%の死角になる。検査中は大腸の動きを止めるので、どうしても死角ができてしまう。見えなかった病変が、大腸が動くこと(蠕動すること)で見えてくることを時々経験した。よかった。その一言である。安堵する。

 検査の時は、緊張しながら正面視するのが通常である。左右をチラ見するセンスも必要である。何となく、自動車の運転に似ているように感じる。

 常に死角を意識して、内視鏡検査に取り組もうとあらためて思う。

2023/12/15
神様のカルテ つづき

その3 初期研修医
 本庄病院に就職して4ヶ月。医療現場に対して、驚嘆や困惑に加え、緊張に満ちた目の回るような日々を栗原は送っていた。上級医やベテラン看護師に支えられながら日々の業務をこなしていた。ある日、指導医からある男性患者の主治医を任された。栗原が自ら胃カメラで末期がんを発見した患者であった。ところが、患者自身が治療開始の延期を希望し、予約の外来にも現れなかった。困惑した栗原は担当看護師の助言もあり、患者宅を訪ねた。
 自宅に誘い入れた患者から、その理由を聞かされた。約1ヶ月後の娘の結婚式であった。医師としての判断と患者自身の希望の狭間で揺れつつも、栗原は結果的に患者の気持ちを優先する自らの決断をした。辛うじて持ちこたえ、結婚式を終えて新幹線で帰路についた矢先、昏睡状態となり緊急搬送された。栗原は応急処置後、放心状態になった。その様子をみていた指導医(大狸先生)から、医療人の心の持ちようや命との向き合い方をアドバイスした。そして、「神様のカルテ」という表現をしながら、医師の限界を遠回しに暗示した。
<感想>
 医師になれば、早晩このような経験を必ずするものである。末期がん患者。有効な治療法がない・・・、むしろ長期生存が見込めない場合、医師は無力である。しかし、投げ出すことは出来ず、診療を続けなければならない。患者の価値観を尊重しつつ、残された時間を有意義に過ごして頂かないといけない。それぞれ、事情があるからである。

2023/12/14
がん患者の敗血症

 敗血症とは、簡単に言うと、細菌やウイルスなどの病原体に感染することによって、病原体が血液にのって全身に広がり、さまざまな影響がおよぼされ、心臓や肺などの重要臓器の機能障害(臓器不全)が起こる状態。可及的速やかに治療を行わないと死亡に至るきわめて危険な状態ともいえる。

 子供の頃、侍ジャイアンツというマンガで、敗血症という言葉を初めて聞いた。

 さて、病棟医経験25年以上の小生、24時間以内に敗血症で死亡した患者を僅かに経験している。

 すべて、がん患者であった。その種類は、腎盂がん、膵臓がんおよび大腸がんであった。

 小生は、これらを劇症型敗血症と呼んでいる。

 ちなみに、良性疾患といえども壊死性筋膜炎という病気がある。これによる劇症型溶連菌感染症は死亡率が高い。

 がん患者の予後は、感染症(特に敗血症)によって寿命が短くなるので、細心の注意が必要と考えている。

2023/12/13
血液型(CisAB型)と近親婚

子供の頃、テレビで興味深いドラマを見た。血液型にまつわる内容だった。

両親のいずれかがAB型だった場合、普通に考えるとO型の子供が生まれてくることはないと思うはず。

つまり、A型かB型のはず。しかし、実際にはO型の子供が生まれてきて・・・。

親がAB型なのにどうして自分はO型なの…?もしかして、自分は両親の子供でないの?

 通常、両親がそれぞれA型遺伝子およびB型遺伝子を持つ場合に、子供はAB型になる。つまり、AB型(遺伝子型A/B)とO型(遺伝子型O/O)の両親からは、 A型(遺伝子型A/O)かB 型(遺伝子型B/O)の子供が生まれる。

 ところが、ごくまれに1本の染色体にA型とB型の両方の遺伝子が乗っていることがある。この場合をCisAB型という。このような染色体を持つ人は必ずAB型となる。ちなみに、遺伝子型がCis-AB/OとO/Oの親からは、AB型(Cis-AB/O)またはO型(O/O)の子供が生まれる。

 CisAB型は、0.0015%とまれな亜型である。国内では、徳島県における頻度が高い(0.017%)。親子鑑定の際、まれにトラブルになるという。

ドラマの題材は、このような親子のトラブルであったと記憶している。

徳島県は旧阿波国。戦国大名である長宗我部氏の領地。近親結婚が繰り返された結果という説がある。

2023/12/12
ハンムラビ法典

 古代バビロニアの「ハンムラビ法典」に「目には目を、歯には歯を」があり、復讐を奨励した一文めいたものがある。実際は、明らかな悪意(法律用語の既知という悪意の意味でない)があった場合にのみ、限定されていたように感じるのは小生だけであろうか?少なくとも、倍返しはよくない。等倍以下返しを奨励するために、やさしい王様が明文化したのではないだろうか。確かに、倍返しはどんどんエスカレートしていきますよね。最終的には無限大に・・・。

 さて、去年1月、散弾銃を持って約11時間自宅に立てこもり、医師を撃った男がいる。その裁判で、検察側は無期懲役を求刑した。病死した母への弔問として自宅に呼び出し、44歳の男性医師を散弾銃で撃って殺害した罪などが問われている。

 その裁判で、検察側は「至近距離で殺傷能力の高いスラッグ弾を発射し、強い殺意がある。母の死亡に対して男性医師らに一方的な不満を募らせた自己中心的な犯行」などと指摘し、無期懲役を求刑した。一方、弁護側は「大けがをさせようと男性医師のひざを狙った」などと男の殺意を否定し、懲役15年が相当と主張した。

日本の法律について、以下のように2つに分けてみる。

1.前近代社会(復讐容認社会)

 司法制度が確立していなかった室町や鎌倉時代において、自らの権利や利益は自らの力で守るという「自力救済」が権利実現のための重要な手段となっていた。「かたき討ち」などを容認したり、「やられたら、やり返す」という自力救済を容認していた。

2.近代社会(実力行使禁止社会)

 現在の民法に「自力救済の禁止」の原則がある。刑法にも、正当防衛や緊急避難という防衛行為や避難行為は認めるが、犯罪完結後の報復行為は禁止している。

 すでに仕返しができない社会。

 いずれにせよ、こんな事件は二度とあって欲しくない。散弾銃所持がなければ起こらなかったわけだから、銃刀法改正を望む意見もあるだろう。しかし、他にも殺害する手段はあるので意味がないという反対意見も出るであろう。法的安定性の深い議論が沸き上がるだろう。

 小生より若い医師の冥福を心から祈る。

2023/12/11
四日市街歩き「伝七邸」

日本最大の紡績会社「東洋紡績」の創始者であり、「紡績王」と呼ばれた第十世伊藤伝七(1852-1924)の別邸。
明治29年、四日市市に移設された。「伝七邸」といい、約600坪の敷地に2階建て木造建築と日本庭園を擁する。
威風堂々とした「玄関棟」と切妻造りの「さつき棟」は、国の登録有形文化財となっている。

過日、昼食を堪能した。ちょっと贅沢な気もする。座敷にも風情がある。

2023/12/10
虹三連発

 虹(にじ: rainbow)は、大気中に浮遊する水滴の中を光が通過する際、分散することで特徴的な模様が見られる大気光学現象である。

 この日は、天候の変動が激しかった。しかし、虹が出ると予想してドライブに出発した。

 近くの神社でおみくじを引いたら、なんと「大吉」。

 珍しい現象が重なった。

 「虹三連発」と「大吉」。

 神に感謝かな。

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