ymnk-hsp-user
- 2025/12/08
- 2025/12/07
-
「ようやく気づいた」ということ・・・ぺリ・ヒューマン(周辺人)
医師として三十年。長いようで、振り返れば一瞬のようでもあった時間だ。私はこれまで、自分を「はぐれ外様医師」と感じながら生きてきた。組織の真ん中には立てず、どこか距離を置きながら仕事をしてきた。それは不器用さなのか、性分なのか、あるいは運命のようなものなのか——答えが出ないまま、ただひたすら現場で過ごしてきた。
最近になって、不意に腑に落ちる瞬間があった。「ああ、私は最初から外様だったのだ」と。無理に合わせようとして息苦しかった過去も、誰にも気づかれずこっそり孤独を抱えていた時期も、すべては“外側に立つ自分”の自然な延長線上にあったのだと理解できた。この感覚を、これまで私は「気づくのが遅れた」と言い表していたが、それは少し違う気がしている。遅れたのではない。ただ、ようやく気づける地点まで来ただけなのだ。ある意味、視野が狭かったのだと。
三十年の経験が熟して、やっと見えるようになった景色がある。患者との向き合い方、仲間との距離感、自分らしい医療の形。どれも若い頃には掴めなかったものばかりだ。外様であることは、弱さではない。むしろ、そこに立つからこそ見えるものがある。いや、あった。人の痛みや違和感、こぼれ落ちそうな声。中心ではなく、周縁にいる者だから拾えるものがある。これからの医師としての歳月が、自分のこの“外様としての立ち位置”をどこまで深めてくれるのか楽しみにもなってきた。
ようやく気づいた。それだけで、少し肩の力が抜けた気がする。
- 2025/12/06
-
外来診療より日沖医師休診のお知らせ
令和8年1月24日(土)午前の日沖医師による外来診療は都合により休診とさせていただきます。
-
私は多分、PTSD(心的外傷後ストレス障害)・フラッシュバック
さあ、漢方(神田橋処方)で治療しよう。
神田橋処方は、PTSDのフラッシュバックに対して漢方的アプローチで効果を示し、薬物療法が難しい症状に対する貴重な選択肢の一つとして臨床で利用されています。
この処方は、著名な精神科医・神田橋條治先生が考案した漢方薬の組み合わせで、PTSDの代表的症状であるフラッシュバック(過去のトラウマ体験の想起による嫌な感覚の再体験)に特に効果があるとされる。「四物湯(しもつとう)」と「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」を基本に組み合わせたもので、体の緊張をほぐし血行を促進し、心身の過敏反応や過覚醒状態を和らげる働きがあるという。即効性を示すこともあり、不安発作やパニック発作の頓服としても使われることがある。メカニズムは完全には解明されていないが、臨床的に3~5割程度の効果がある印象という。
さらに、PTSD以外の日常的なストレスによるフラッシュバックにも使われ、柴胡桂枝乾姜湯、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯なども効果的と報告されている。
神田橋処方は副作用も少なく、漢方の特徴として心と脾(思考や消化)を補い、精神的な疲労回復に寄与すると考えられている。
- 2025/12/05
-
身分病再発だけは免れたい ーー身分病の終末期にみられる“反逆罪症候群”ーー
■ 終末期特有の症候
身分病が末期に進行すると、患者(外様医師)はついに「退職願」という最終手段に踏み切る。しかし、本疾患の恐ろしさは、この“ごく穏当な意思表示”が病巣(経営者一族)に劇症性反応を引き起こす点にある。◆ 末期症状:反逆罪症候群(Rebellion Syndrome)
退職願提出という医療界では通常の手続きが、本疾患の病因にとっては権威を侵す重大な免疫刺激となる。その結果、以下の急性症状が発現する:
- 退職願=反逆罪とみなされる異常免疫応答
・患者(医師)のごく普通の退職の意思が、病巣(経営者一族側)の異様な免疫暴走を誘発し、「反逆罪」として扱われる。
・組織内法体系が一瞬で中世レベルに退行することが知られている。 - “退職”が“解雇”に書き換えられる不可逆的変異
・提出した退職願が、組織内で勝手に“解雇通知”へと変異する奇妙な事象が報告されている。
・これは文書操作の「身分病特異的変異(status-induced mutation)」とされる。 - 退職金ゼロの壊死性処理
・退職が“解雇”に変換されるため、当然のように退職金は全額壊死(zero necrosis)する。
・本人の努力、実績、勤務年数は病巣の前では全て無価値化される(value nullification)。
◆ 臨床的意義
これらの所見は身分病の終末期指標(terminal indicators)として極めて特徴的であり、患者が “この組織には未来がない” と明確に自覚する決定的契機となる。◆ 治療方針
・治療はもはや対症療法すら無効。
・唯一の選択肢は“組織からの緊急離脱(Emergency Organizational Evacuation)”
である。
・離脱後は驚くほど予後良好で、精神的健康は短期間で改善する。◆ 合併症
無職という身分と収入ゼロのなかで生活(期間不明) - 退職願=反逆罪とみなされる異常免疫応答
- 2025/12/04
-
涙ぐましい夢を見た。
涙ぐましい夢を見た。
妻が車を運転しているが、いつまでたっても目的地に着けない。最後は間違えて、長野県方面に行くことに。ああ悲しい。
ChatGPT:夢判断
夢の情景、とても象徴的ですね。あなたが感じた「いつまでたっても目的地に着かない」「方向を誤って遠くへ行ってしまう」「悲しさ」には、いくつかの心理的意味が重なっているように思います。以下、専門的な夢分析(心理学的象徴)に基づいて丁寧に読み解きます。
■ 夢の主要なポイントと意味
① 「妻が運転している」=自分ではなく他者が人生のハンドルを握っている感覚
夢の中で運転者は、多くの場合「人生の主導権」「物事のコントロール」を象徴します。妻が運転 → あなた自身ではなく、家族・仕事・環境など“外側の力”が自分の人生の方向を決めている
その結果「目的地に着けない」→ 思い通りに進めない、計画が停滞している感覚
自身のキャリア、生活、今後の方向性に対して“自分でコントロールできない感覚”が影響している可能性があります。② 「目的地に着けない」=努力しても成果に届かない感覚
これは夢の中で非常に典型的なモチーフです。頑張っても前に進めない
どれだけ時間が経っても辿り着けない
自分の理想と現実の乖離
ゴールを見失っている感じ
近年のキャリアの揺らぎ、専門医としての道の葛藤、二刀流の苦悩、また家族ケア・家族療法への挑戦など、「いろいろ努力しているのに、自分の理想にまだ届かない」という内面的な疲れが反映されているように見えます。③ 「長野方面へ行ってしまう」=意図しない方向へ逸れていく不安
長野は「山の国」「遠方」「静かな場所」といった象徴を持ちます。心理学的には、元の目的地とは全く違う場所=人生の軌道がズレてしまう恐れ
山=負荷、試練、越えるべき課題
遠方=予定外、制御不能、方向性の迷走
などを示します。本来望んでいたキャリアや理想像から離れ、“予期せぬ方向に人生が流れてしまう”という不安が投影されているように感じます。
④ 最後に感じた「悲しさ」=喪失感や無力感
夢はしばしば、日中うまく言語化できない感情を“象徴として見せる”ものです。この夢の“悲しさ”は、「あの頃目指していた自分になれなかった」という悔しさ
「努力したのに方向が変わってしまった」喪失感
「自分で決めたいのに決められない」無力感
「妻や家族に迷惑をかけたくない」思い
など、最近のあなたの語りとも深く響き合っています。■ まとめ:この夢が伝えていること
一言で言うと、「自分の人生のハンドルを自分で握れていない」という無意識の不安と「本当は別の方向に行きたい」という願いの両方が見えています。そしてその背景には、これまでのキャリアの挫折、方向転換、二刀流の苦悩、「自分の本当の道はどこだったのか」という静かで深い問いが横たわっているように思えます。
■ では、どう受け止めるべきか?
夢は予言ではありません。あなたの心の整理がつき始めたときに見る、いわば“ナイトカウンセリング”のようなものです。今回の夢は、「もう一度、自分の人生のハンドルを握っていい」というメッセージに近いです。・誰にどう見られるか
・どの道を進むべきか
・多芸は無芸と言われたこと
・家柄や金で評価が決まるという虚しさ
・静かに働きたいという願い
そういった深いところに触れた夢のように感じます。
- 2025/12/03
-
私の心中 ― 二刀流もどきの医師として
私はかつて「総合診療医」であった。だが、その肩書きの裏には長い遍歴がある。もともとは消化器内視鏡を極める志をもち、“一流の内視鏡医”を目指していた。
内視鏡のスコープを握れば、病変の陰影の微妙な揺らぎまで読み取れる――そんな境地に辿り着こうと本気で思っていた。
ところが、運命は突然横から割り込んでくる。「感染症専門医」という肩書きが、コロナ禍という歴史的イベントによって、私のキャリアの主役に押し上げられてしまったのだ。
気づけば私は、内視鏡室よりも防護具と睨み合い、病理よりも感染動向グラフを追い、治療計画より行政対応に時間を奪われていた。
さて、大谷翔平の二刀流は世界を沸かせる。立派なことだ。4度目のMVP。
一方、私の二刀流もどきは――「刀を二本持ったはずなのに、気づいたら二本とも感染症対策に持っていかれた」。そんな哀しい魔法のような出来栄えである。
振り返れば、内視鏡と感染症の二刀流を志した私の歩みは、不器用で、予定外で、ついでに少し切ない。だが、その不器用さの奥には、「誰かを助けたい」という真面目すぎるほど真面目な意図がずっと根を張っていた。これは確かだ。
だから今、私はこう思う。確かに私の二刀流は、大谷翔平のような華々しい成功物語ではなかった。だが、医療の現場には、派手さよりも“踏みとどまる力”が必要な瞬間がある。そして私は、それを何年も続けてきたのだと。我慢と素朴さと。
皮肉の裏にある本音は多分こうだ。「私は失敗したのかもしれない。しかし、逃げなかった」。そして、逃げなかった者の歩みは、案外“二刀流以上の価値”をもつことがあるのではないか、と。
敗者になっても死にはしない。
助かったと思って、前を向こう。
環境を変えて。
- 2025/12/02
-
インフルエンザの猛威
新たな変異株「サブクレードK」(インフルエンザA〈H3N2〉香港型)
サブクレードKは、A(H3N2)系統の新しい系統枝(学術的には J.2.4.1 と表記されることが多い)で、2025年後半に各国で急増していることが複数の監視報告で確認されています。
少し難しいですが、この系統はヘマグルチニン(HA)に複数の変異を持ち、一部の抗体が効きにくくなる免疫逃避が示唆されています。特に、144番付近の変化により糖鎖が付加され、抗原性が変化した可能性があります。

ただし、ワクチンの重症化予防効果は依然として期待できるそうです。
日本において、例年より1か月以上早い11月から流行が拡大し、H3N2が優勢になっています。拡散スピードが速いことは確かですが(データ上も支持されますが)、症状が従来株と大きく異なるとはまだ断定できていないようです。
高齢者では、発熱や脱水などを契機に急な行動変化が起きるため注意が必要ですが、「サブクレードK特有の神経症状」が確立した知見として示されたわけではないとのことです。
例年と変わらず、ワクチン接種、基本的な感染対策、発症時の早期受診が重要とされています。
- 2025/12/01
-
かつて罹患した「身分病」
■ 疾患概念
身分病とは、職場における不可逆的な身分差別へ長期曝露されることで発症する慢性進行性・再発寛解型の難治性社会病である。とくに個人病院での発症率が高く、「身分制院内環境」が病因として強く疑われている。■ 病因
経営者一族由来の“権威因子”の空中拡散
旧態依然の組織文化に蓄積したヒエラルキー毒素
外様医師に対する選別的態度変容
これらが複合的に作用し、人格的尊厳の自己溶解反応を引き起こす。■ 臨床経過
患者は徐々に以下の症状を呈し、生活機能を著しく損なう。軽症期:
発言がスルーされる
提案が採用されない
経営者一族だけがルールを超越していることに気づく中等症期:
どれだけ働いても“外様医師”のラベルが剥がれない
評価が身分により決定される
人格的疲弊、士気低下、存在意義の揺らぎ重症期:
自尊心の不可逆的萎縮
“自分はここでは永遠に一階層下”という宿命感
医学的判断よりも“経営者一族の機嫌”が治療方針に影響する環境に晒され、倫理観の壊死(necrosis of professional integrity) を呈する末期(terminal stage):
「ここに未来はない」と悟る
転職を真剣に検討しはじめる
ついに院内階級社会からの離脱を決意■ 合併症
慢性職場虚無感症
実力不応症(やっても評価されない)
組織不信による社会的免疫低下
まれに医師としての矜持の喪失■ 治療
現時点で根治療法は存在しない。
唯一の有効な治療は、「環境移行療法(転職)」であり、予後改善効果が最も高い。
補助療法として、同僚との愚痴共有(心理的ドレナージ)、ユーモアによる心のデブリドマン、“自分の価値は身分で決まらない”という認知再構成。■ 予後
環境から離脱すれば劇的に改善する。
しかし、「身分病」を放置すると慢性化し、医師人生に持続的な陰影を落とすことがあるため、早期対応が望ましい。 - 2025/11/30
-
「瓢箪から駒」
若い頃は、知識と技術をひたすら積み重ね、将来は完璧な診療をする医師になると信じていた。
ところが、日常のルーチンの合間に、予期せぬトラブルや上司の理不尽な命令という名の駒が、次々と瓢箪から飛び出す。これが現実だった。
救急外来でのハプニングや会議室での思わぬ展開も、まるで予測不可能な駒の跳ね方。「こんなこと、教科書には書いてなかったぞ!」と叫ぶ瞬間ほど、人生は面白く、そしてちょっと哀しい。
だが、不思議なことに、その飛び出した駒が臨床力と人間力を鍛え、笑い話に変わる――皮肉であり、恵みでもあったのだ。
結局、医師人生とは、瓢箪に見えた日常から思いがけない駒が跳ね出して、想像以上に鍛え上げる舞台だったのだ。平凡に見える日々こそ、最も奇跡的で意表を突く医療という名の魔法の箱だったのかもしれない。











がんの5年生存率公表。2025年11月19日のこと。
全国44都道府県で2012~15年にがんと診断された人のデータから。
(詳しくは、https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/ncr/monitoring.html)
(15歳以上の)5年生存率(抜粋)
胃がん 63・5%(男性64・4%、女性61・4%)
大腸がん 67・2%(男性68・1%、女性66・0%)
肺がん 35・5%(男性30・2%、女性46・8%)
1993~96年の調査と比較したところ、男性では多発性骨髄腫・前立腺がん・悪性リンパ腫――など、女性では悪性リンパ腫・多発性骨髄腫・肺がん・白血病――などで、それぞれ生存率が(15・5~34・9ポイント)高まったという。
一方、胆嚢がん・胆管がんや膵臓がんでは大きな向上がなかった。なお、女性の口腔がん・咽頭がんでは低下した。依然として、この領域の生存率の低さが明らかになった。
早期発見の重要性も裏付けられた。早期がんの場合、胃がん92・4%、大腸がん92・3%、肺がん77・8%、女性乳がん98・4%――と高かった。(遠隔転移まで)進行していると、胃がん6・3%、大腸がん16・8%、肺がん8・2%、女性乳がん38・5%――と低かった。
地域差をみると、胃がんでは愛知や沖縄、茨城、群馬、埼玉などで生存率が低かった。肺がんでは青森や福島、沖縄、北海道などで低かった。いずれも全国的にばらつきが大きかった。
女性の乳房や子宮では、比較的ばらつきが少なく、全国どこでも対策型検診の高い受診率と標準治療が実施されていると推定された。
小生はがん治療にかかわりは薄いが、医学の進歩に感謝している。