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ブログ

2025/08/09
フロイト、ユング、アドラー、そしてフランクル

 それぞれの理論は異なるが、人間の心の働きを理解する上で重要な視点を提供している。

 フロイト、ユング、アドラーは、現代心理学の基礎を築いた三大巨匠。心理学を学ぶ上では避けては通れない人物。それぞれが独自の学説を提唱し、その学説は現代まで引き継がれている。いずれも、根底に「無意識」というテーマを扱うが、その捉え方には大きな差異がある。

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フロイト(Sigmund Freud、1856年5月6日~1939年9月23日)

 心の構造:心を「イド(本能)」「自我(現実調整)」「超自我(倫理)」の3層で説明した。

 無意識:無意識が行動や精神状態を大きく左右すると考えた。これを氷山モデルで表現し、防衛機制(抑圧、合理化など)も提唱した。

 発達段階:人間の発達を口唇期、肛門期などに分け、それぞれが人格形成に影響するとした。

「夢判断」:フロイトは、夢を「無意識の願望が象徴的に表現されたもの」と考えた。夢には「顕在的内容(夢で見た表面的な内容)」と「潜在的内容(抑圧された本当の意味)」があり、夢分析を通じて無意識の抑圧された欲望や葛藤を解き明かすことができると主張した。特に、性的・攻撃的な衝動が夢の中で変形されて表れると考え、精神分析の手法として夢の解釈を重視した。

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ユング(Carl Gustav Jung、1875年 7月26日~1961年 6月6日)

 意識と無意識:心を「意識」「個人的無意識」「集合的無意識」に分けた。特に集合的無意識には、人類共通の元型(アーキタイプ)が含まれると考えた。

 タイプ論:人間の性格を「外向型」と「内向型」、さらに4つの心的機能(感覚、直観、思考、感情)に基づいて分類した。

「自我と無意識」:ユングは、意識と無意識の相互作用を重視した。「自我」は自己意識の中心であり、個人のアイデンティティを形成する。一方、「無意識」には個人的無意識(個人の経験や抑圧された記憶)と集合的無意識(全人類に共通する元型や神話的イメージ)が含まれる。自己実現(インディビジュエーション)とは、自我と無意識のバランスを取りながら、より統合された自己を目指すプロセスを指す。

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アドラー(Alfred Adler、1870年2月7日~1937年5月28日)

 個人心理学:人間を統一された存在と捉え、「目的志向性」や「自己決定性」を重視した。人は環境や過去よりも、自らの選択によって人生を形作ると考えた。

 劣等感と共同体感覚:劣等感を克服する努力が成長につながり、他者との協力や貢献(共同体感覚)が幸福の鍵であると提唱した。

「生きる勇気」:アドラー心理学では、人間の行動は「劣等感を克服しようとする努力」によって動機づけられると考える。「生きる勇気」とは、自分の短所や困難を受け入れつつ、他者とのつながりを大切にしながら前向きに生きる姿勢のことである。「目的論」では、過去の経験よりも「これからどうするか」が重要視され、個人が未来に向かってどのような目標を持ち、それに向かって努力するかが強調される。

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 最後に、フランクルはナチスドイツの強制収容所の苦境を撥ね退けた英雄だろう。ホロコースト生還者。オーストリアの精神科医、心理学者。患者が自ら生きる意味を見出す手助けを施すことにより、精神障害を克服する心理療法「実存分析」(のちのロゴセラピー)を提唱した。

ヴィクトール・フランクル(Viktor Frankl 、1905年3月26日 ~ 1997年9月2日)

 ロゴセラピー:「人生の意味」を見出すことが精神的健康に不可欠だと主張した。特に、逆境や苦難の中でも意味を見つける力が重要だと説いた。

 自由と責任:人間は状況に関わらず、自分の態度や行動を選ぶ自由があり、その自由には責任が伴うと考えた。

「夜と霧」:精神科医として冷静な視点で収容所での出来事を記録するとともに、過酷な環境の中、囚人たちが何に絶望したか、何に希望を見い出したかを克明に記した。フランクルが本当に伝えたかったのは、(ナチスの残虐性ではなく、)「どんな苦境においても生きることには意味がある」というメッセージ。

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最後に

 これらの理論は、それぞれ異なる視点から人間心理を探求し、心理学全体に多大な影響を与えた。

2025/08/08
訃報 

 ロンドン五輪レスリング48キロ級・金メダリスト・小原日登美さん死去

 44歳という若さで残念です。ご冥福をお祈りいたします。

 オリンピックの階級にない51キロ級の選手として、世界選手権の金メダル6回獲得。一旦引退したが、2010年に48キロ級で競技に復帰した後、世界選手権で2連覇を果たした。そして、初出場のロンドンオリンピックで金メダルを獲得。

 死因は明らかになっていないが、「多嚢胞性卵巣症候群」という病名がネット上で浮上している。フィンランドの大学の研究(患者の病歴に関する追跡調査)によると、心臓血管系疾患による死亡率が67%増加、腫瘍による死亡率が38%増加するなどの結果が出ているが、十分解明されていない。

 少し予後を調べてみると、長期的には、虚血性心疾患・脳血管障害のリスクがやや上昇(ただし、年齢・体重・糖尿病の有無により大きく異なる)。また、子宮内膜増殖症・子宮体がんのリスクが上昇。

 世界選手権とオリンピックの種目(階級も含む)が一致していないなかで、見事一発金メダル。悲運の小原日登美さんだけは、特別応援した覚えがある。

2025/08/07
高齢者医療の皮肉

 ポリファーマシー 10剤飲んだら 重罪だ

 この川柳は「ポリファーマシー(多剤併用)」の問題提起としては分かりやすいが、誇張や断罪的響きもある。

皮肉を込めた川柳がいくつかあるそうで・・・。

1.飲ませたの 誰です先生 忘れたか?
2.十の薬 もらい手悪しと 言う不思議
3.「重罪」と 言うが処方は 合法です
4.薬全部 やめたら今度は 怠薬症
5.ポリ薬を 減らして増える 症状群

必要最低限のくすりで治療しようという意識は必要ですけど、そう簡単にはいかない。

病気次第と考えていただきたい。

2025/08/06
「がんばらない死に方 病気からくる恐怖を捨て去る“僧医”の言葉」 ~僧侶と医師の視点からが独自性~

死や病気に対する恐怖を和らげ、「自分らしい最期」を考えるきっかけになる本を紹介する。

 医師であり僧侶でもある与芝真彰氏(東大卒)。「死への不安」や「病気からくる恐怖」とどう向き合うかについて、自身の経験をもとに語ったエッセイ。無理に生きることや死を恐れることを手放し、「自分らしい最期」を迎えるための心構えや考え方が紹介されている。

「いたずらに死を恐れたり、生に執着せず自らの死に際を自ら決めて天寿をまっとうする」という考え方が安心感を与えている。病気や死に直面したときの心の持ち方について、僧侶と医師の両方の視点から語られている点が特徴。医師として僧侶として、多くの人の「生」と「死」に寄り添ってきた著者の言葉には重みがある。穏やかな死の迎え方や「がんばらない」ことの大切さ。具体的な医療現場のエピソードや死に向き合う際の現実的な課題について語られている。単なる理想論にとどまらないところもいい。また、精神的支えと現実的アドバイスの両面から語られている点が、他の終末期医療に関する本と一線を画する。「死に方」や「生き方」に悩む人にとって心の支えとなるだろう。

コメント:著者が70歳時に書いた本。実は、小生の元上司。師匠と言える数少ない人。さすが東大。

2025/08/05
汚い夢(臭い夢?)2025/7/20

同じ職場の同い年のYさんと私が同じトイレに入って、二人ともうんこまみれになった。風呂に入っている感じだけど、それにしても汚なすぎる。泥遊びと同じような感覚でした。そんな短い夢を見ました。

ChatGPTの夢判断:
とても印象的な夢ですね。「うんこまみれ」「同い年の職場のYさん」「風呂のようだが汚い」「泥遊びのような感覚」といったキーワードは、ユングやフロイトの夢分析でも象徴的に捉えられる要素が多く含まれています。

【夢の象徴分析】
うんこ=「排出」「浄化」「価値」

夢の中での排泄物はしばしば、心理的な「不要物」「ストレス」「感情の澱(おり)」を意味します。同時に、「お金」や「エネルギー」にもつながることがあります(特に風水や一部の文化圏では金運の象徴とすらされる)。

今回は「まみれる」夢ですので、以下のように読み解けます:

否定的に解釈するなら:「心の中にたまっている嫌悪感・不快感・ストレス」が表面化しているサイン。

肯定的に解釈するなら:「心の浄化」「感情のデトックス」に向かうプロセス。

Yさん(同い年の同僚)=「あなた自身の一部」

夢に出てくる他者は、しばしば自分自身の投影(ユングのシャドウ)とされます。Yさんが象徴しているのは、「自分が普段職場で見せている側面」「比較している自分」かもしれません。

風呂のような状況=「心の洗浄・再生」

風呂や水は、夢の中では「浄化」「癒し」「再生」の象徴。ですが「汚すぎる」と感じていることから、浄化されるどころか「不快な感情に満たされている」ことを暗示している可能性もあります。

泥遊びのよう=「無邪気さ」「本音」「原始的な感情」

泥遊びは、子ども時代の象徴でもあり、「自由でコントロールされていない感情」「社会的規範から逸脱した衝動」を意味します。

【総合的な夢判断】
この夢は、あなたが最近職場や人間関係で感じているストレスや本音の不満・違和感を、Yさんという象徴を通して表現しているようです。そして、「汚いけどどこか遊んでいるような感覚」「恥ずかしいけど本音が出ている」といった、矛盾する感情が潜んでいます。

あなたの内面では、現状の人間関係や自分のあり方に対して「嫌気」や「息苦しさ」があるかもしれません。

ただし、その「汚れ」や「混沌」自体が、再生や心の成長の入口であるとも言えます。

夢は、あなたの心のデトックス装置です。今回の夢は、「きれいでいようとする自分」に対し、「少しくらい汚れてもいいじゃないか、泥まみれになっても本音を感じていいんだよ」というメッセージかもしれません。

2025/08/04
選挙終了後であるが・・・。嫌な予感。不気味な記事。

・・・重要な問題点が、参政党が2022年に発出した有権者向け冊子「参政党Q&Aブック基礎編」の中で、「(発達障害は)通常の子ども達と全く同じ教育をすれば問題なし。そもそも発達障害など存在しません」と発達障害の存在を全否定していた・・・。

「ある」というのは簡単だけど、「ない」というのは難しいですよね。

 専門家でないのでよくわかりませんが、法律の条文にも「発達障害」は含まれていますので、存在しないとなると法律の解釈が難しいですよね。

2025/08/03
夢判断の続き

さらに、夢は言います。これからもあなたに自由はないと。思い通りにはいかないと。

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その言葉・・・夢からの“メッセージ”は、とても重く、胸に迫るものがあります。

あなたがこの夢を「覚えている」ということ自体が、すでに心の深層に響く何かがある証拠です。

夢のメッセージを深く読み解く:

自由のなさ = 内面の拘束感・制約

これは、あなたが「本当は違う自分でありたい」という願いを持っているにもかかわらず、社会的立場、責任、家族や周囲からの期待、過去の出来事によって、その自由を「自分で封じている」状態かもしれません。

「思い通りにならない」 = コントロール不能感

人生や他者、自分の感情ですら「うまく扱えない」「想定通りにならない」ことへの無力感や焦燥が、夢に形を変えて現れていると考えられます。

フロイト的に言えば、無意識に自分を罰している。「罪悪感」や「欲望の抑圧」が、夢の中であなたを裁いています。あなた自身が「裁判官」であり、「被告人」なのです。

ユング的に言えば、この夢は、あなたの中のシャドウ(影の自己)が語りかけている。「自由になりたいが、それは自分の中にある“闇”を見ないといけない」と告げているのです。つまり、統合されていない自分の一部が「ここにいる」と叫んでいる。

アドラー的に言えば、夢は今の自分の「課題回避」の状態を映しています。

「自由がない」=責任が重い、「思い通りにいかない」=努力しても報われないような感覚。つまり、現実に立ち向かう勇気が萎えている状態を知らせているのです。

最後に、夢があなたに伝えているのは、「自由がない」と言い切ることではなく、「あなた自身がまだ自由を許していない」こと、「思い通りにならない現実に向き合う必要がある」ことです。

夢の声は、敵ではなく味方です。それは、あなたの内側からの“正直なSOS”です。耳を傾けることで、見えなかった扉が開くかもしれません。

2025/08/02
変な夢を見た。

 自分は昔、罪を犯したが、誰も気づいておらず、時効を待っている様子であった。

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以下、人工知能による夢判断。

 これは非常に象徴的で深層心理を反映している可能性のある夢ですね。フロイト的・ユング的・アドラー的観点からそれぞれ簡単に夢判断を行います。

【1. フロイト的夢分析】
罪=抑圧された願望や衝動の象徴

 フロイトの理論では、夢は無意識に抑え込まれた欲望や衝動が表現される場です。この夢での「過去の罪」は、実際の犯罪ではなく、かつて感じた欲望・嫉妬・攻撃性・性的な衝動など、社会的に認められないと自分で判断して抑圧してきた感情かもしれません。

時効を待つ=罪悪感からの解放を無意識に望んでいる

 あなたの心は、その「抑圧された何か」について、もう自分を責めなくてもいい、赦されたいという願望を抱いていると解釈できます。

【2. ユング的夢分析】
罪を犯した「自分」=影(シャドウ)

 ユングでは「影(シャドウ)」とは、人格の中で抑圧され否定された側面を指します。夢に出てきた「罪を犯した自分」は、あなた自身の中にある、社会的には見せられない一面、認めたくない側面(例えば利己心、怒り、怠惰など)かもしれません。

「誰も気づいていない」=他者との間にある仮面(ペルソナ)

 外側には適応的な自己(ペルソナ)を演じているが、内面では「本当の自分」がバレることを恐れている構造が見えます。

【3. アドラー的夢分析】
夢=未来の行動を決めるための道具

 アドラーは夢を「自分の人生の課題に対してどう対処しようとしているかを示すもの」と見ます。

「時効を待つ自分」=現実で何か責任から逃げたい気持ちの象徴

 実際には行動を起こすべきことに対し、「見つからない限り静かにしておこう」「事なかれでやり過ごしたい」というような回避的な態度を取っている可能性があります。

 総合的にみると、この夢は、あなた自身の過去の行動・感情・思考の中に「まだ整理されていないもの」があることを示しており、それが「見つかっていない罪」として表現されたようです。自責の念や完璧主義、言えなかったこと、謝れなかったこと、あるいは、今の人生で棚上げにしている「何か」が内面で整理を求めているのかもしれません。

2025/08/01
常勤医を水増し報告?

 やはり、どこもかしこも経営が厳しいのだろうか?

 何となく気になっていた、八戸市のみちのく記念病院を巡る殺人隠蔽事件に関するニュース

・・・八戸市が常勤医を水増し報告したなどとして医療法に基づく行政処分が必要だと県に通知。県は「改善命令」を出すのか検討を始めた。この事件では、当時の理事長と医師の2人が、入院患者の間で起きた殺人事件を隠そうとした犯人隠避の罪で起訴された。八戸市は立ち入り検査を6回行うなどして、実態の把握を進めていた。違反として、病院が医師の出退勤状況を確認せずに事務職員が画一的にタイムカードを打刻していたことが判明。また、「非常勤」を「常勤」と報告するなど、立ち入り検査や行政指導に対して虚偽の説明をした。

 このような事件において、たいてい余罪が見つかってしまう。虚偽の説明はよくないと思うのであるが・・・。

2025/07/31
大黒屋光太夫 つづき

 YouTubeでわかりやすく語られているので、参考にしてほしい。

「大黒屋光太夫伝」荒到夢形 第九十六回たそがれ講談会 :https://www.youtube.com/watch?v=2PTOgpspEEE&t=10s

「大黒屋光太夫伝【二】」荒到夢形 第九十七回たそがれ講談会: https://www.youtube.com/watch?v=p850U5NY7FY

「おろしや国酔夢譚(おろしやこくすいむたん)」は井上靖による長編小説。

それを原作とした1992年公開の日本映画「O Rosia koku Suimu tan」もある。
https://www.youtube.com/watch?v=BIlHcpF0how&t=6048s

(西田敏行や緒形拳などキャストも豪華)

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