齋藤先生のブログ
- 2025/10/06
- 2025/10/05
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宇宙開発の影③ ~成功するとは限らない~
スペースシャトル・コロンビア ―帰りの不幸
2003年2月1日、STS-107ミッション。科学実験を終えて地球帰還中。
打ち上げ時、外部燃料タンクの断熱材が剥離し、左翼前縁の耐熱パネルを損傷。
再突入時、損傷部から高温ガスが侵入し機体崩壊。
搭乗員7名全員死亡。断熱材剥離は過去にも発生していたが「許容できるリスク」として扱われた。
損傷確認のための軌道上検査や修理手段は整備されていなかった。
組織文化として「前例踏襲」が安全判断を曇らせた。教訓として、小さな兆候でも重大事故につながる。冗長な安全確認と、軌道上での検査・修理手段の整備。安全文化の継続的改善。
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まとめ(①②③の事例に共通する教訓)
技術だけでなく組織文化・意思決定の在り方が事故防止の鍵。
成功例(アポロ13号)と失敗例(チャレンジャー・コロンビア)の両方から学ぶべきは、リスクを過小評価しないこと、異論を歓迎する文化、柔軟な対応力。
宇宙開発は「ハイリスク・ハイコスト・ハイベネフィット」の領域であり、失敗を糧にする仕組みが発展の前提になる。 - 2025/10/04
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宇宙開発の影② ~成功するとは限らない~
スペースシャトル・チャレンジャー ―行きの不幸
1986年1月28日、STS-51-Lミッション。
民間人教師(クリスタ・マコーリフ)が搭乗予定で注目度が高かった。打ち上げ73秒後、右側固体燃料ロケットのOリングが寒冷により収縮し密閉不良。
高温ガスが漏れ、外部燃料タンクに引火・爆発。
搭乗員7名全員死亡。Oリング問題は以前から報告されていたが、組織的に軽視。
打ち上げ当日のフロリダは異常低温だった。
「政治的・広報的スケジュール優先」の風潮が安全判断を曇らせた。教訓として、安全性がスケジュールや政治圧力より優先されるべき。技術者の懸念が組織内で適切に反映される仕組みの重要性。リスク評価と意思決定過程の透明化。
- 2025/10/03
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宇宙開発の影① ~成功するとは限らない~
アポロ13号の軌跡 ―「成功した失敗」
1970年4月11日打ち上げ。
目的は人類3回目の月面着陸。
司令船「オデッセイ」と月着陸船「アクエリアス」で構成。打ち上げ後約56時間、酸素タンク爆発が発生。
原因は酸素タンク内の配線被覆が損傷していたこと。酸素と電力の喪失により、月面着陸は中止。
月着陸船「アクエリアス」を“救命艇”として使用。約4分の噴射可能。
軌道計算をやり直し、月の重力を利用して(月周回軌道を経由して)帰還ルートに。
管制センター(ヒューストン)の即応力と宇宙飛行士の冷静な対処が大きかった。
エンジン開発者の陰ながらの協力があった。
二酸化炭素上昇に対して、NASAの「シミュレーション訓練」が有効に働いた。致命的事故を回避し無事帰還できた。
教訓として、冗長性と緊急時の柔軟な資源活用の重要性。「失敗」から安全性向上の手段を学ぶ文化。
- 2025/10/02
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公立病院、8割赤字、過去最大、24年度決算 総務省
2025/9/30(火) 17:00配信 時事通信社
総務省は30日、全国の公立病院の2024年度決算をまとめた。
844病院全体の経常収支は3952億円の赤字。赤字だったのは703病院で全体の83.3%を占めた。赤字幅、赤字病院の割合はいずれも過去最大。同省は、人件費の増加や医薬品などの価格高騰で経営状況が悪化しているとみている。
公立病院の収支は、新型コロナウイルス関連の補助金など国の支援が手厚かった21年度は3256億円の黒字だったが、23年度に赤字に転じた。人件費や材料費の増加が診療収入の伸びを上回り、24年度は赤字幅が1853億円拡大した。
本業の医業費用を見ると、約半分を占める職員給与費が1374億円増加。国の人事院勧告に伴う賃上げなどが影響した。薬代などの材料費は398億円増えた。
いよいよ苦境に立たされている。
原因はわかっている。
改善できなければ、人件費削減しかない。
人事院勧告はありがたいが、経営者側は困るのではないか。
やはり、減給しかないだろう。
私は構わない。
その代わり、有給休暇を十分に頂こうとしよう。
- 2025/10/01
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「仁」という文字の本質
私に名前に「仁」がつく。「仁」とは・・・。
字源と形
「仁」は、人偏(亻)と「二」から成る。
これは二人の人間が向き合い、互いに支え合う姿を表す。
一人では「仁」は生まれず、人と人の間にのみ存在する徳――それが仁。思想的背景(儒教)
孔子は『論語』で「仁」を最高の徳目として位置づけた。
「己の欲せざる所、人に施すことなかれ」
「仁者は愛人す」(仁とは人を愛すること)
つまり、「仁」は単なる優しさではなく、自分を律しつつ相手を思いやる高度な人間力。武士道における仁
武士道では「仁」は、武力を持つ者が持たねばならない慈悲と公正を意味した。
強さと優しさが同居する美徳であり、力がある者ほど必要とされる資質。医療と仁
医は仁術――これは江戸時代から伝わる言葉。
医療行為は技術であると同時に、患者を思いやる「仁」の実践でなければならない。
仁なき医術は、ただの処置で終わる。現代的なかっこよさ
「仁」とは温かい理性。
情に流されず、しかし冷たくもならず、正しさと優しさの均衡を保つ力。
それは一朝一夕では身につかず、生涯を通じて磨かれるもの。 - 2025/09/30
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プラスチック脳障害の最新知見 ~マイクロ・ナノプラスチックが脳に蓄積~
2025年2月3日付けの「Nature Medicine」掲載の研究によると、環境中に広がる微小なプラスチック粒子(マイクロプラスチックやナノプラスチック:1~1000ナノメートル)が、人間の脳に高濃度で蓄積していることが明らかになった。この濃度は、肝臓や腎臓よりも脳の方がはるかに高かった。脳に蓄積されるプラスチック粒子の大半はポリエチレンで、主にナノサイズの「かけら」として存在。2024年のサンプルでは、2016年と比べて脳内プラスチック粒子濃度が約50%増加していた。これは、近年急激に増加している環境中のマイクロ・ナノプラスチックの影響と考えられる。
認知症患者の脳ではさらに高濃度
同研究では、認知症(アルツハイマー病や血管性認知症など)と診断された人の脳を調べた結果、通常の脳と比べてプラスチック粒子の濃度が大幅に高く、最大で標準の脳の7~30倍に達していた。これらの粒子は血管壁や免疫細胞に多く存在しており、脳の障害や免疫システムへの影響の可能性が指摘されている。プラスチックと脳障害の因果関係
重要なのは、現時点で「プラスチック粒子が認知症などの脳障害を引き起こす」と直接証明されたわけではないこと。研究で得られたのは関連性であり、因果関係の有無やメカニズムについては今後の大規模かつ長期的な追跡研究や動物実験が必要。まとめ
- 環境中のマイクロ・ナノプラスチックは、肝臓や腎臓よりも脳に多く蓄積される事実。
- この傾向は近年さらに強まっており、認知症患者の脳では極めて高濃度。
- プラスチック粒子が直接脳障害や認知症を引き起こすかどうかは不明。
- 暴露経路や蓄積・排除メカニズム、健康影響の解明が急がれる課題。
プラスチックの脳蓄積と健康との関係は、今後ますます注目される???
- 2025/09/29
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二重被爆者
かつて耳にしたことがある。
確か、2回被爆した男性。広島で被爆し、長崎に逃げていたらまた被爆。
同じような人が存在した。その記事を見かけた。
・・・当時14歳だった福井絹代さん(現在94歳:青森在住)は、広島で2歳下の弟と被爆し、3日後、親戚を頼り避難した長崎で入市被爆した。1945年8月6日、爆心地から約1.8キロの自宅にいた。中庭に出ようとした瞬間、「ピカーっと光って2階建ての家の下敷きになった」。そんなさなか、無料で汽車に乗れることを知った。「今動かないと暮らしていけない」。父方の親戚を頼ろうと、出身地の長崎へ行く決断をした。ところが、同9日午後。到着した長崎市内では、線路伝いに多くの人や馬が倒れて死んでいた。「とにかく、隙間なく人が倒れていた」。謝りながら人や馬の上を歩いた。・・・
不運が重なる残酷な状況。想像を絶する。酷過ぎる。
核の平和利用だけを切望する。 - 2025/09/28
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命がけのスポーツ・ボクシング
相次ぐ訃報・・・(2025年8月)2日に行われたプロボクシングの日本ライト級挑戦者決定戦に臨んだ後に救急搬送され、開頭手術を受けていた同級4位浦川大将さん(帝拳)が9日午後10時31分、死去した。28歳だった。試合後に担架で運ばれ、医務室では意識があった。念のために都内の病院に救急搬送されていた途中で意識を失い、急性硬膜下血腫のために開頭手術を受けた・・・。
ご冥福をお祈りします。
ボクシング好きの小生。
危険を伴うスポーツは他にもある。
万事うまくいって欲しい。 - 2025/09/27
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Memento mori(メメント・モリ)
ラテン語で「死を忘れるな」という意味。
中世ヨーロッパからルネサンス期にかけて広く使われた警句。
「いずれ死ぬ身であることを意識し、今を正しく生きよ」という人生訓。
キリスト教世界では、死を神との最終的な出会いとして捉え、贅沢や傲慢を戒め、謙虚な生き方を促す標語として広まる。美術や文学では、骸骨・砂時計・枯れた花など「死の象徴」を通じて表現されることが多い。
人生のはかなさを認識し、現在の瞬間を大切にすることを促す教え。中世ヨーロッパでは、修道士たちが日々の生活の中で死を意識し、霊的な成長を促すために用いられた。
古代ローマから現代に至るまで、様々な人々にインスピレーションを与え、思想や芸術作品にも強く影響を与えている。
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本居宣長との関係性
本居宣長(1730–1801)は江戸時代の国学者で松坂の町医者。
彼の思想や著作の中に、「死を自覚し、日々を真摯に生きる」視点が垣間見られる。死生観の共通性
宣長は『玉勝間』などで、人の命のはかなさや無常感を繰り返し述べた。特に、病人を診る医師として、死の不可避性を日常的に感じ、それを受け入れる姿勢を説いた。もののあはれとのつながり
宣長の美学「もののあはれ」は、人生や自然のうつろいに感じ入る心。死や別れも「もののあはれ」を深く感じさせる契機であり、これはMemento mori的な死の意識と響き合う。行動への転化
宣長は死の意識を単なる恐怖や諦めで終わらせず、「今を正直に、和やかに生きる」方向に導いた。西洋のMemento moriが宗教的救済へ向かう傾向があるのに対し、宣長は日本的情緒と倫理観を通して日常の心がけに落とし込んだ。











前回がいつか覚えていないが・・・。
本当にうれしい。
みんなでバースデー。
誕生日が近いんです。
ほんのひととき。