医療法人社団 山中胃腸科病院【公式ホームページ】

私は消化器病専門医です。

(以前、肝臓専門医でもありました。消化器病に肝臓病は含まれますので、肝臓専門医のみ返上した過去があります。理由は恥ずかしいので秘密です。)

専門医らしく、書いてみました。簡単に言うと、楽観視している脂肪肝の中に、肝硬変に進行するものがあるという告知です。心筋梗塞やがんにもなりやすいという警告です。

代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)とは

 単純な脂肪肝から炎症を伴う代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)まで進行する疾患である。

 肝関連合併症、肝細胞がん、心血管疾患、特定の肝外がんによる罹患率と死亡率の増加と関連している。

 この疾患は世界中の成人人口の約30~40%に影響を与え、2型糖尿病患者の約60~70%、肥満者の約70~80%にみられる最も一般的な慢性肝疾患でもある。

MASLDの診断基準と危険因子:

 診断は、超音波検査で肝臓の脂肪化に加え、代謝症候群の5特徴のうち少なくとも1つ(過体重または肥満、前糖尿病または2型糖尿病、高血圧、中性脂肪TG値の上昇、高密度リポタンパクコレステロールHDL-C値の低下)を伴うことに基づく。

 アルコール摂取量が少なく(女性は週140 g未満、男性は週210 g未満)で、特定の薬剤(コルチコステロイド、タモキシフェン、メトトレキサートなど)の使用がなく、C型肝炎や鉄過剰症などの脂肪肝の原因となるものがない場合に適用される。

 MASLDの他のリスク因子に、50歳以上の高齢者や男性(男女比約2)が含まれる。肝線維化の評価には、Fibrosis-4指数(年齢、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼASTとアラニンアミノトランスフェラーゼALTの血清レベル、血小板数を組み込んだスコアリングシステム)と振動制御過渡エラストグラフィー(非侵襲的画像技術)が一般的に使用される。

MASLDの死因と治療法:
 MASLD患者の主な死因は心血管疾患であり、次いで特定の肝外がん(主に消化器系、乳がん、婦人科がん)、肝関連合併症(肝硬変、肝性脳症や静脈瘤出血などの肝代償不全)、肝細胞がんと続く。
 MASLDの第一選択治療は、行動変容(低カロリーの低炭水化物・低脂肪食、身体運動、アルコール回避を含む)と2型糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症の管理である。なお、体格指数(BMI)が35を超える患者には、肥満手術が検討されることもある。
 米国において、レスメチロム(肝臓を標的とした甲状腺ホルモン受容体β選択的作動薬)と皮下注射用セマグルチド(グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬)が条件付き承認を受けている。日本では、保険適応されている薬剤はない。

今後の展望:
 早期診断のためのスクリーニング方法の改善やさらに効果的な治療法の開発が期待される。また、生活習慣の改善を促進するための公衆衛生的アプローチも、この広範に影響を及ぼす疾患の予防と管理において重要な役割を果たすだろう。

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