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シェイクスピア「リア王」

 初演は、日本でいうと江戸時代初期。

 この話は、王族の恋愛や親子関係がどれほど「狂気」と紙一重であるかを見事に描いている。

 愛の言葉を、三人の娘にどれだけ派手に表現できるかを試すなんて、すでに狂っている。しかも、リア王の娘たち(長女と次女)の豹変ぶりときたら、古今東西の王侯貴族のスキャンダルを先取りしているかのようにも感じる。

 権力と遺産が絡めば、愛も忠義もあったものでない。美辞麗句で父(リア王)を酔わせたかと思えば、次の瞬間には冷酷に追い出す。そして、知らん顔。これほど「愛のインフレ」と「家族経営の破綻」を見事に描いた作品はないだろう。

 結局、王族の恋愛や家族関係は「愛」と称しながら、実際には「権力闘争」「財産分与」「面子の維持」の三点セットにすぎない。幻滅そのもの。

 リア王に限らず、歴史を振り返れば王侯貴族の恋愛沙汰は、政治の舞台装置か血統保存のための契約ごっこと皮肉るしかない。

 だから、悲劇にしかならないのだろう。

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