プラスチック脳障害の最新知見 ~マイクロ・ナノプラスチックが脳に蓄積~
2025年2月3日付けの「Nature Medicine」掲載の研究によると、環境中に広がる微小なプラスチック粒子(マイクロプラスチックやナノプラスチック:1~1000ナノメートル)が、人間の脳に高濃度で蓄積していることが明らかになった。この濃度は、肝臓や腎臓よりも脳の方がはるかに高かった。脳に蓄積されるプラスチック粒子の大半はポリエチレンで、主にナノサイズの「かけら」として存在。2024年のサンプルでは、2016年と比べて脳内プラスチック粒子濃度が約50%増加していた。これは、近年急激に増加している環境中のマイクロ・ナノプラスチックの影響と考えられる。
認知症患者の脳ではさらに高濃度
同研究では、認知症(アルツハイマー病や血管性認知症など)と診断された人の脳を調べた結果、通常の脳と比べてプラスチック粒子の濃度が大幅に高く、最大で標準の脳の7~30倍に達していた。これらの粒子は血管壁や免疫細胞に多く存在しており、脳の障害や免疫システムへの影響の可能性が指摘されている。
プラスチックと脳障害の因果関係
重要なのは、現時点で「プラスチック粒子が認知症などの脳障害を引き起こす」と直接証明されたわけではないこと。研究で得られたのは関連性であり、因果関係の有無やメカニズムについては今後の大規模かつ長期的な追跡研究や動物実験が必要。
まとめ
- 環境中のマイクロ・ナノプラスチックは、肝臓や腎臓よりも脳に多く蓄積される事実。
- この傾向は近年さらに強まっており、認知症患者の脳では極めて高濃度。
- プラスチック粒子が直接脳障害や認知症を引き起こすかどうかは不明。
- 暴露経路や蓄積・排除メカニズム、健康影響の解明が急がれる課題。
プラスチックの脳蓄積と健康との関係は、今後ますます注目される???