医療法人社団 山中胃腸科病院【公式ホームページ】

死角がん

 最近、死角がんの患者さんのことを思い出した。

 「死角がん」という呼び方はないのであるが、簡単に言えば、見えなかったので診断できなかったがんである。

 見えているのに診断できなかったがんは稀にある。例えば、検査目的と異なったところに偶然に見つかるがんである。

 実際、がんと言っても、細胞の検査までしないとがんと確定できない。当たり前であるが・・・。

 細胞の検査ができないがんもあり、その場合、画像だけでそうだろうと診断してしまうことも時々ある。

 それによって、誤診に至って欲しくないのであるが・・・。リスクとの相談も必要であるし・・・。

 話は逸れたが、内視鏡医は胃カメラや大腸カメラをする。長細い袋の中をファイバースコープで見ている。胃は丸い袋に近いので死角はわずかである。しかし、大腸はヒダがあるので、その裏側は10~15%の死角になる。検査中は大腸の動きを止めるので、どうしても死角ができてしまう。見えなかった病変が、大腸が動くこと(蠕動すること)で見えてくることを時々経験した。よかった。その一言である。安堵する。

 検査の時は、緊張しながら正面視するのが通常である。左右をチラ見するセンスも必要である。何となく、自動車の運転に似ているように感じる。

 常に死角を意識して、内視鏡検査に取り組もうとあらためて思う。

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