ハンムラビ法典
古代バビロニアの「ハンムラビ法典」に「目には目を、歯には歯を」があり、復讐を奨励した一文めいたものがある。実際は、明らかな悪意(法律用語の既知という悪意の意味でない)があった場合にのみ、限定されていたように感じるのは小生だけであろうか?少なくとも、倍返しはよくない。等倍以下返しを奨励するために、やさしい王様が明文化したのではないだろうか。確かに、倍返しはどんどんエスカレートしていきますよね。最終的には無限大に・・・。
さて、去年1月、散弾銃を持って約11時間自宅に立てこもり、医師を撃った男がいる。その裁判で、検察側は無期懲役を求刑した。病死した母への弔問として自宅に呼び出し、44歳の男性医師を散弾銃で撃って殺害した罪などが問われている。
その裁判で、検察側は「至近距離で殺傷能力の高いスラッグ弾を発射し、強い殺意がある。母の死亡に対して男性医師らに一方的な不満を募らせた自己中心的な犯行」などと指摘し、無期懲役を求刑した。一方、弁護側は「大けがをさせようと男性医師のひざを狙った」などと男の殺意を否定し、懲役15年が相当と主張した。
日本の法律について、以下のように2つに分けてみる。
1.前近代社会(復讐容認社会)
司法制度が確立していなかった室町や鎌倉時代において、自らの権利や利益は自らの力で守るという「自力救済」が権利実現のための重要な手段となっていた。「かたき討ち」などを容認したり、「やられたら、やり返す」という自力救済を容認していた。
2.近代社会(実力行使禁止社会)
現在の民法に「自力救済の禁止」の原則がある。刑法にも、正当防衛や緊急避難という防衛行為や避難行為は認めるが、犯罪完結後の報復行為は禁止している。
すでに仕返しができない社会。
いずれにせよ、こんな事件は二度とあって欲しくない。散弾銃所持がなければ起こらなかったわけだから、銃刀法改正を望む意見もあるだろう。しかし、他にも殺害する手段はあるので意味がないという反対意見も出るであろう。法的安定性の深い議論が沸き上がるだろう。
小生より若い医師の冥福を心から祈る。