神様のカルテ 続き
その4 命の重さ
栗原が日々奮闘している頃、栗原の住む御嶽荘の住人である片島榛名は冬山登山をしていた。行程の途中で先行していたはずの男性の姿が見えないことに気づいた。捜索の末、吹雪の中に怪我をした男性を発見した。死を覚悟して生きる勇気のない男性に対して、片島は叱咤し、荷物をその場に置いて男性を山小屋に連れ帰った。
翌朝、弁明を試みた男性に対して、片島は静かに自らの考えを語りかけた。山は帰るために登るものであり、帰る場所は自分でつくるのだと。
また、山小屋には他に一組の夫婦が滞在していた。この夫婦にとって、今回の登山は幼くして亡くした息子の弔い登山であった。それを知った男性は生きる気力を取り戻し、吹雪の去ったのち、男性はヘリで救助された。
片島は撮影をしながら自力で下山した。駅の改札を抜けると、「帰ってきた・・・」と安堵すると同時に、心に占めるものは冬山の記憶でなく、帰宅を待っているであろう心温まる男性の存在であった。玄関の引き戸を開けたその瞬間、ここが自分の居場所と確信した。
<感想>
少しわき道に反れた構成のようであるが、命の重さを語る上で、この章にアクセントを感じる。栗原と片島の将来的な関係性を含蓄しているようだ。