2023/6/1 ブログ
夏目漱石の「それから」を読んで ~あらすじと小生の感想③~
その3:
しばらくの後、芸者遊びを節制していた代助が久しぶりに料亭に顔を出した。そこで、平岡に偶然出くわした。三千代が内密にお金の工面(借金)を願い回っているにもかかわらず、平岡は芸者遊びをして帰宅しない日も増えていた。そんな平岡の態度に、代助はいらだちを隠せず、「平岡と三千代を結婚させたのは間違いだった」と後悔した。
一方、代助は進行中の佐川財閥の娘との縁談を断る旨を兄嫁梅子に伝えた。「好きな女性がいる」と言ったが、梅子は本気にしなかった。思い詰めた代助は三千代を呼び出し、「僕にはあなたが必要」と告白した。そして、三千代はかつての代助に対する心境を吐露して、「結婚する前に言って欲しかった・・・今更おそい」と涙を流した。
父親が代助を自由気ままな生活をさせた理由は、佐川財閥の娘との政略結婚で事業安定を図るためだった。それを知りながらも三千代に対する偽りのない思いがある以上、代助は佐川の娘との縁談を断った。怒り心頭の父親は、代助への生活費援助を止めると宣言した。
代助の気持ちはすでに三千代に傾いている。平岡に対する優位性は変わらないが、父親に対する劣位性も変わらない。人間関係が破壊されつつあるが、代助の乗りかけた船は出航準備を始めた。前途多難な雰囲気が漂っている。