2022/10/1 ブログ
タスク・シフト、タスク・シェア
いよいよ2024年4月から医師にも時間外労働の上限規制が適用されるそうだ。労働時間短縮を進める国策の一つとして「タスク・シフト」が注目されている。医師の業務を多職種がカバーすることで、医師にしかできない業務に専念し、労働時間の短縮につなげようとする働き方改革である。
小生が思うに、医療の質を下げないで欲しいところであるが、残業志向を美徳とする日本人にとってマイナス要因にならなければいいが・・・。
繰り返すが、「タスク・シフト」とは、医師の仕事の一部を看護師などの他職種に任せることである。類似語である「タスク・シェア」とは、医師の仕事を複数の職種で分け合うことである。いずれも医師への業務集中を軽減する狙いがある。
すでに2021年10月から、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の4職種について法改正が行われ、業務範囲が広がった。
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<診療放射線技師>
一連のRI検査のなかで認められていたのは、従来「撮像」部分のみであった。改正において、静脈路確保、RI検査医薬品投与、投与終了後の抜針・止血行為が可能になった(診療放射線技師法第24条2項)。
<臨床検査技師>
超音波検査において、静脈路確保による造影剤接続注入する行為、造影剤投与後の抜針・止血行為が可能になった(臨床検査技師法等に関する法律第20条の2第1項)。
<臨床工学技士>
手術室等で生命維持管理装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続するために静脈路確保する行為、心・血管カテーテル治療で身体に電気的負荷装置を操作する行為、手術室の鏡視下手術で体内に挿入された内視鏡用ビデオカメラの保持や術野視野を確保する操作が可能になった(臨床工学技士法第37条第1項)。
<救急救命士>
医療機関に搬送されるまでの間(病院前:プレホスピタル)に重度傷病者に対する実施可能な救急救命処置を、救急外来においても実施可能となった(病院内処置も可能になった)(救急救命士法第44条第2項)。
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また、2021年9月30日、厚生労働省医政局より「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」という通知が出された。
この通知によると、看護師、助産師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士、義肢装具士および救急救命士の12職種について、医師からのタスク・シフト/シェアが可能な業務の具体例が紹介された。
さらに、事務職員も含めて職種にかかわらず、可能な業務として次の7項目が挙げられた。
①診療録等の代行入力
②各種書類の記載
③医師が診察する前に、医療機関の定めた定型の問診票等を用いて患者の病歴や症状などを聴取すること
④日常的に行われる検査に関する定期的な説明、同意書の受領
⑤入院時のオリエンテーション
⑥院内での患者移送や誘導
⑦症例実績や各種臨床データの整理、研究申請書の準備、カンファレンスの準備、医師の当直表の作成等の業務
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しかし、小生にとって、”こんなに手伝ってくれてありがとう”という感謝より、むしろ”何となく押し付けがましい”という罪悪感のほうがはるかに大きい。
手伝う側(=手伝わされる側)のことを考えれば、ずばりこの機会に(ルール適応される前に)転職しようと思う。なぜなら、この改革は多難確実と予想できるからである。つまり、”3ふ(ふあん不安・ふたん負担・ふまん不満)”の問題である。ある意味、手伝う側(=手伝わされる側)が犠牲的立場になってしまうようで恐怖なのである。
かつて、人間関係のもつれ等でメンタル不調(心的外傷後ストレス障害)と心療内科専門医に診断されている以上、厚生労働省の青写真どおりに”現場で円滑に改革される”には長時間必要で、現場の混乱が目に見えるようで精神的に耐えられない。パワハラなどと加害者扱いされて、悪人になるのが恐ろしい。かつての職場を思い出して(フラッシュバックして)しまいそうである。結局、全責任は医師にあることに変わりはないからである。
小生にとって、この困難をできるかぎり避けたほうがメンタル不調を悪化させないと信じている。持病がある以上、無難な選択をせざるを得ないだろう。