無知の恥 「やから」と「家族」
歴史的背景を考えると、日本社会の家族制度の変遷や共同体のあり方が深く関係している。
「やから(族)」という言葉は古代から日本語に存在し、「血縁や地縁で結びついた集団」を指していた。語源的には「や」(家)+「から」(同類、仲間)とされ、「同じ家に属する人々」という意味を持っていたという。
「家族」という言葉自体は明治時代以降に確立された概念であり、それ以前の日本では「家(いえ)」が基本単位であった。
「家制度」が法制度として確立された(明治民法)。「家族」という言葉が広まり、西洋的な「nuclear family(核家族)」の概念も輸入された。
戦後の民法改正(1947年)により、旧来の「家制度」が廃止され、個人単位の戸籍制度が導入され、現代的な「家族」の概念が一般化した。
「やから」は伝統的な共同体を指し、血縁や職能、地縁を基にした集団の概念を持つ。
「家族」は近代法制度の中で確立されたが、実際には伝統的な「やから」的なつながりも影響を与え続けている。
「やから」と「家族」は異なる概念でありながら、日本の歴史において密接に絡み合いながら変遷してきたと言える。