医療法人社団 山中胃腸科病院【公式ホームページ】

情報共有の重要性

 いつでも(夜間休日でも)伝えてくれたらいいのに(私見)

・・・松本市の市立病院で今年(2025年)4月、出産の際に赤ちゃんの心拍数に異常があったにも関わらず、助産師が医師に伝えず、赤ちゃんの脳に障がいが残る医療事故があったことが分かりました。

 これは悲しいニュースですね。医師に聞きにくい職場環境なんでしょうか?

 さて、プライマリケア医師(かっこよくいうと総合診療医)には、「近接性(アクセシビリティ)」――すなわち患者さんが必要なときに医療を迅速・容易に受けられる環境を作る――が不可欠です。

 これは地理的・経済的・時間的・精神的な側面にわたります。患者が気軽に相談できる、アクセスしやすい医療体制こそが信頼を生み、医師の価値を高めます。

 ここで、「いつでも対応=病院に住み込み」は現実的か?という問題提起があります。「いつでも患者さんのそばに寄り添う」ことを極端に解釈すると、「医師が病院に住み込むべきだ」という発想にもなりますが、これには大きな賛否があります。

賛成する意見:
 緊急時にもすぐ対応でき、安心感を得やすい。
 地域医療や在宅医療では「町医者」的な身近さが信頼を築いてきた歴史がある。
 「いつでも相談できる」存在が患者さんのメンタルサポートにも有効。

反対する意見:
 医師の働き方改革や労働環境の改善が政策課題となっており、過度な勤務や住み込みは心身の疲弊を招く。
 長時間労働や頻回の宿直により、医師の休息の確保が難しくなり、安全で質の高い医療の継続につながらない。
 チーム医療やテクノロジー活用によって、「1人の医師が全てを24時間対応」するのではなく、分担・協力という新しいモデルが推奨されている。
 法的にも宿日直勤務に上限があるため、住み込み制度は現代にそぐわない。

まとめ:
 プライマリケア医師の「近接性」は、「患者さんの身近にいる」「アクセスしやすい」という環境づくりであり、必ずしも医師が病院に住み込むことを求めるものではないようです。医師にも適切な休息と私生活の保障が不可欠であり、新しい働き方や協働体制のなかで、いかに患者さんに寄り添い続けるかが重要視されています。

最後に:
 コロナ患者さんが初めて当院に受診してからやがて5年。それに合わせて、感染症専門医かつ総合診療医の小生は、病院生活を決断した。患者さんのためだけでない。家族のためでもあり、不安な職員のためでもあった。

 かつての職場では、「お前は絶対に罹るな、そして休むな」と叱咤されるほどの洗礼を受けていたので、かなり鍛えられていました。おかげさまで、ここ5年間、コロナに罹患しませんでしたが、病院に貢献できていたのであれば、光栄です。

« 前のページに戻る

外来診療の受付時間

交通アクセス

〒510-0958
三重県四日市市小古曽3-5-33
> 詳細はこちら