悪玉アミノ酸「ホモシステイン」
ホモシステインは、必須アミノ酸「メチオニン」を代謝する過程で生成されるアミノ酸の一種。
悪玉アミノ酸とも呼ばれる。
メチオニン代謝には、ビタミンB6やビタミンB12、葉酸などが不可欠。
これらの栄養素が欠乏すると、細胞内にホモシステインが過剰に蓄積してしまう。
結果的に、動脈硬化進展になっていく。
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かつて、以下のような演題を内科学会総会(東京、2013年4月)で発表した。
臨床現場における総ホモシステインの測定意義
【目的】患者は臨床検査値の上下に敏感である.総ホモシステイン(THS)は酸化ストレスマーカーとされているが,その臨床現場における意義は明らかでない.
【方法】THSを測定した症例(測定期間は平成22年1月~平成23年12月の2年間)のうち,2回以上測定した生活習慣病関連疾患の患者37例を解析対象とした.初回測定値と最終測定値を比較し,低下したものを有効と判定し,その有効例における疾患および治療内容を後方視的に検討した.
【結果】有効例は37例中29例(男性19例,女性10例)であった.平均年齢62.1歳,平均初回測定値18.9,平均最終測定値14.9,平均観察期間15.6ヶ月であった.有効例の特徴として,糖尿病,高血圧や脂質異常症などを複数合併した症例が多く,それに対応した治療(薬物療法)が十分なされていた.なお,THSを測定した高血圧患者25例のうち,降圧剤オルメサルタン(単独および併用)で治療された10例はすべて有効であった.
【総括】ビタミン補充によるTHS低下の有効性(血管イベント抑制)は検証されていない.今回の検討において,糖尿病,高血圧および脂質異常症の治療効果判定に比較的活用できる可能性が示唆された.今後,各疾患のマーカー(血糖やHbA 1c,血圧,LDLコレステロール)と比較して,THSがどれだけ鋭敏であるかを検証する必要がある.
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発表後すぐに、東京スカイツリーに急いだ記憶が懐かしい。