患者さんに褒められた「五積散」
漢方を始めてやがて20年。独学メインでやってきた。
現在、漢方家庭医。四日市医師会東洋医学研究会メンバー。
先日、小生が処方した漢方薬「五積散」がよく効いたとある患者さんが称賛してくれた。非常に光栄であった。外来中に幸福感に浸ることができた。
小生は、この患者さんをクーラー病的夏風邪と診断し、五積散証(五積散が効く体質かつ病状)と判断。
ちなみに、「証(しょう)」とは、人それぞれの体質(体力、抵抗力、症状の出方など)をあらわす指標のこと。
「クーラー病」的症状は、冷房環境による冷えと気血のめぐりの悪さが原因。
少し難しいので・・・症状として表現すると、頭重感、肩こり、食欲低下、胃腸虚弱、関節痛、筋肉痛、微熱、悪寒、倦怠感、鼻汁や咳などの風邪様症状だろう。
五積散は、蒼朮(そうじゅつ)、 陳皮(ちんぴ)、 当帰(とうき)、 半夏(はんげ)、 茯苓(ぶくりょう)、 甘草(かんぞう)、 桔梗(ききょう)、 枳実(きじつ)、 桂皮(けいひ)、 厚朴(こうぼく)、 芍薬(しゃくやく)、 生姜(しょうきょう)、 川芎(せんきゅう)、 大棗(たいそう)、 白芷(びゃくし)、 麻黄(まおう)とその構成生薬の多さと処方の成り立ちから、漢方薬の合剤と考えることができる。
小生は、平胃散(蒼朮・厚朴・陳皮・甘草)+桂枝湯(桂皮・芍薬・生姜・大棗・甘草)+α(桔梗湯や当帰芍薬散類似)と考え、全体的な風邪(夏風邪の典型)に有効と考えている。つまり、「クーラーで冷えて風邪引いた」的な病状に効くと考えている。
最後に、専門的にカッコよく述べると、五積散は、「冷えによる多様な不調」「慢性化した軽い痛み、胃腸障害、自律神経症状」といった単一処方では対応しきれない複合的な病態に対して、(理気・活血・去寒・健脾・去湿の機能をすべてカバーできる)多機能型合剤漢方ということになる。