宇宙開発の影③ ~成功するとは限らない~
スペースシャトル・コロンビア ―帰りの不幸
2003年2月1日、STS-107ミッション。科学実験を終えて地球帰還中。
打ち上げ時、外部燃料タンクの断熱材が剥離し、左翼前縁の耐熱パネルを損傷。
再突入時、損傷部から高温ガスが侵入し機体崩壊。
搭乗員7名全員死亡。
断熱材剥離は過去にも発生していたが「許容できるリスク」として扱われた。
損傷確認のための軌道上検査や修理手段は整備されていなかった。
組織文化として「前例踏襲」が安全判断を曇らせた。
教訓として、小さな兆候でも重大事故につながる。冗長な安全確認と、軌道上での検査・修理手段の整備。安全文化の継続的改善。
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まとめ(①②③の事例に共通する教訓)
技術だけでなく組織文化・意思決定の在り方が事故防止の鍵。
成功例(アポロ13号)と失敗例(チャレンジャー・コロンビア)の両方から学ぶべきは、リスクを過小評価しないこと、異論を歓迎する文化、柔軟な対応力。
宇宙開発は「ハイリスク・ハイコスト・ハイベネフィット」の領域であり、失敗を糧にする仕組みが発展の前提になる。