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冬本番❄︎

令和4年師走

太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸に至る海域の水温が地球規模の天候に大きく影響を与えていることはご存知と思います。海面の水温が平年より1年程度あるいはそれ以上に高くなる現象をエルニーニョ現象、その逆をラニーニョ現象と呼ばれています。海面水温が上昇すると貿易風と呼ばれる東風が平常時よりも弱くなり、南太平洋西部に溜まっていた暖かい海水が東へ広がるとともに、東部では冷たい水の沸き起こりが弱まります。そのために太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が通常より高くなり、積乱雲が盛んに発生する海域が平常時より東に移ります。活発な大気の対流活動が東に移動しインドネシアや南米北部では平年より雨が少なく暖かくなります。熱帯からの大気の変動により、日本では冷夏、暖冬となる傾向があります。ラニーニョ現象は海面水温が低下し、周り回って日本では猛暑、厳冬になります。

「越前おおの冬物語」準備中

冬になると太平洋側の地域は晴天であっても、日本海側は曇りであったり雪であったりします。日本海を北上するにつれて積雪量は増えてきます。しかし、積雪記録の世界一は滋賀県の伊吹山山頂であると聞くと若干の驚きがあります。伊吹山より北東に越前国(福井県)と美濃国(岐阜県)を結ぶ「越前街道」「美濃街道」は雪深い九頭竜川に沿って浅倉氏が城を構えた一乗谷を横目に見ながら福井平野につながります。途中の大野市では2月に雪見灯ろうが並べられ「冬物語」というお祭りがあり、大野城を背景に花火を打ち上げるとのことです。また、加賀百万石のお城が置かれた金沢市は、駅を降りると鼓門が迎えてくれますが、秋も深まると雪のため木の枝が折れないように雪吊りの作業が始まります。兼六園の春の新緑や秋の紅葉も綺麗ですが、冬の雪吊りも見どころです。

「徽軫灯籠(琴柱)雪景色」兼六園

冬のこの時期、JPCZという言葉をよく耳に、目にします。日本海寒帯気団収束帯(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)というもので、朝鮮半島北部の高山の影響を寒気流が受け日本海側の天候に影響を与えていると解説されています。大気や空には国境はありませんから、地球規模での影響を考えなければならないことを痛感させられます。
南半球の海洋で起こっていることが北半球の陸地やユーラシア大陸から海を渡ってくる寒気や降雪に大いに影響を与えていることは興味深いところです。
視点は異なりますが、南半球のオーストラリアでインフルエンザの流行があれば、北半球でも遅れてインフルエンザの流行が見られるということがあります。新型コロナ感染症が流行したこの二年間ではインフルエンザの流行は見られませんでした。今年はどうでしょうか。ツインデミックとなるのでしょうか。
エルニーニョ現象やラニーニョ現象のように南半球での気候が地球規模で北半球の天候を大きく動かすことと、インフルエンザ流行の影響が北半球の流行に大きく影響を与えることは何かしらの繋がりがある様に思えてなりません。
首都圏や京阪神を中心に少しずつ、インフレエンザ感染者の数が増えてきています。我々の住む四日市市においてもインフルエンザ感染者が確認されています。クリスマスから患者数が増え、年末年始の休みの間は足踏み状態を示し、新年の松が取れた辺りからインフルエンザ感染者の数が増加し始め、センター試験や高校入試の頃に流行を迎えることが多かったように記憶しています。
さて、今シーズンはどうなるでしょうか。
気をつけ過ぎることはありません。

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