健康の社会的決定要因(SDH)
健康の社会的決定要因(SDH: Social Determinants of Health)とは、私たちの健康に影響を及ぼす「社会的な要素」のことを指す。
病気や健康は遺伝や医療だけで決まるものではなく、生活環境や社会の仕組みとも深く関係する。
SDHに含まれる主な要素
経済状況:収入や職業の安定は健康を支える重要な基盤。経済的に困難な状況にあると、適切な医療や栄養バランスの取れた食事が得にくくなる。
教育:教育水準が高い人ほど健康情報にアクセスしやすく、健康的な選択を行いやすくなる。教育は健康意識の向上にもつながる。
住環境:安全で清潔な住まい、緑地のある街並み、交通の利便性などは、身体的・精神的な健康に大きく影響する。
社会的つながり:家族や友人、地域とのつながりは、孤独の軽減やストレスの緩和に寄与し、心の健康を保つうえで不可欠。
医療へのアクセス:近隣に医療機関があるか、保険制度が利用できるかどうかも健康に直結する。アクセスの格差は、治療の遅れや予防機会の損失につながる。
なぜSDHが重要なのか?
SDHは、個人の努力だけでは変えにくい「社会の構造」や「環境」と関わっているため、健康格差の背景要因となる。たとえば、同じ病気でも、住んでいる地域や所得の違いによって受けられる治療や予後が変わることがある。これは、医療の問題だけではなく、社会全体の課題でもある。
誰もが健康でいられる社会を実現するためには、SDHを意識した政策や支援が必要である。一人ひとりが、地域の支援サービスを活用したり、困ったときに相談できる場所を知っておいたりすることも健康の維持に役立つ。事実、健康は生活習慣や遺伝だけでなく、社会や環境の影響を強く受ける。健康の社会的決定要因(SDH)を理解することは、より公平で健康な社会を築く第一歩になる。個人と社会の両面から健康を支える視点がこれからますます重要になる。