「学歴の過小申告」──上司による風評は許されるか?
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「学歴詐称」は虚栄心の表れであり、決して許されるものではありません。
渦中の伊東市長の田久保氏は、辞職し再び立候補と。
まあ、妥当でしょう。
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では逆に、上司が部下の学歴を実際より低く吹聴する行為はどうでしょうか?
これは、いわゆる「学歴詐称」とは異なります。学歴詐称とは、本人が自らの学歴を実際より高く偽って申告する行為を指し、場合によっては懲戒解雇などの重大な処分につながることもあります。
一方で、たとえば部下が「国立大学卒」であるにもかかわらず、上司が「私立大学卒」と周囲に伝える行為は、事実を過小に伝える「虚偽の風評流布」となり得ます。
これは以下のような法的・職場上の問題を含んでいます。
■ 名誉毀損・信用毀損の可能性
本人の同意なく、事実と異なる学歴を周囲に伝える行為は、社会的評価を低下させる可能性があり、名誉毀損(民法709条、不法行為)や信用毀損(刑法233条)に該当する場合があります。
■ パワーハラスメントの一種となる可能性
上司が部下の評価を下げる意図をもって虚偽の情報を流布した場合、職場におけるパワーハラスメント(厚労省の定義による「精神的な攻撃」)と見なされる可能性があります。
■ 就業規則・労働契約違反
多くの企業は、従業員の名誉やプライバシーを保護する義務を就業規則等に明記しています。虚偽の情報を吹聴することは、その規則違反とされ、懲戒処分の対象となる場合もあります。
■ 法的責任の発生
虚偽の情報によって実際に評価・昇進・信頼関係に損害が生じた場合、損害賠償請求(民法709条)や名誉毀損訴訟の対象となることもあります。
■ まとめ
上司が部下の学歴を実際より低く吹聴する行為は、本人の名誉や評価を不当に損なう重大な問題行為であり、ハラスメント・名誉毀損・就業規則違反など、さまざまな法的・倫理的問題をはらみます。被害を受けた場合には、会社の人事部門やコンプライアンス部門に相談することが推奨されます。
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しかし、実業家の堀江貴文氏がX(旧Twitter)で、除籍されていたことを認めた田久保氏のニュース記事を引用し、「Fラン私大の学歴詐称なんかどーでもいいだろ」とコメント。
私の意見を述べます。
学歴にランクはあるでしょうけど、どう判断するかは自由でしょう。
ただ、虚偽情報を吹聴する上司の行為は、野蛮で悪質と思います。
部分社会の法理から言えば、公務員以外の世界では、身分制はやむを得ないと感じております。
そういう環境で生きた経験もありますので。