「保健医療2035」
2035年に向けた日本の保健医療政策のビジョンを示すもの。「キュア中心」から「ケア中心」への転換が提唱された。
疾病の治癒と生命維持を主目的とする「キュア(cure)」。一方、慢性疾患や一定の支障を抱えても生活の質を維持向上させ、身体的のみならず精神的社会的な意味も含めた健康を保つことを目指す「ケア(care)」。
認知症医療は、この転換の典型的な例とされる。認知症は完全な治癒が難しい場合が多く、患者の生活の質を維持し、症状の進行を遅らせることが重要となる。そのため、医療や介護の現場では患者の身体的ケアだけでなく、精神的社会的なサポートを含む包括的なケアが求められている。さらに、厚生労働省の「保健医療2035」策定懇談会では、地域主体の保健医療への再編が提言されている。これは、地域ごとの実情に応じたサービス提供を推進し、住民の理解と納得に基づくケアを実現することを目指している。
小生は認知症専門医でなく、認知症予防専門医である。認知症は予防が基本と考えているからだ。予防イコール「キュア(cure)」と考えるのが妥当である。現時点で、認知症は改善が難しいので、発症すれば「キュア中心」から「ケア中心」へ転換するのが基本であろう。