バレンタイン
研修医の頃、ガン末期の女性患者さんからバレンタインチョコを頂きました。
その心境は複雑でした。患者さん本人も「もう助からない」と言っていました。
そういえば、夏目漱石の「変な音」も病人の心理を描いていました。
どんな心理が絡んでいたのでしょうか?
「贈ることによる自己表現」、「誰かに何かをあげるという能動的行為を通じて、自分自身の存在をアピール」、「単なる感謝の気持ち」、「人生最後に誰かを喜ばせたいという思い」、「病状とは別の次元で自分らしさを保とうとする自然行動」、、、。
夏目漱石の「変な音」でも、病人の心理の複雑さを見事に描いている。病人が周囲の音に過敏に反応し、それが不安や恐怖に結びついていく様子が。
病気になると、普段なら気にしないことが気になったり、感情が揺れ動いたりすることがよくある。
医師として、心理学をもっと勉強しておけばよかったと後悔している。